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保険代理店での「社保逃れ」|固定給+歩合給の場合、社会保険料はどう計算する?

保険代理店での「社保逃れ」|固定給+歩合給の場合、社会保険料はどう計算する?

2026年7月、保険代理店の給与をめぐる「社保逃れ」疑惑が報道されました。固定給と歩合給を分けて支払っている場合、どこまで社会保険料の対象になるのでしょうか。標準報酬月額の考え方と、企業が確認しておきたいポイントを解説します。

※本記事は2026年8月25日時点の公表情報をもとに作成しています。

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監修者

桜井 吏(さくらい つかさ)

特定社会保険労務士
中小企業診断士

生年月日:1990年(平成2年)生まれ
出身地:山形県米沢市
趣 味:スポーツ全般

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2026年7月、保険代理店の「社保逃れ」が話題に

2026年7月、生命保険・損害保険を取り扱う一部の保険代理店について、社会保険料の納付額を不適切に抑えていたのではないかという、いわゆる「社保逃れ」の疑いが報道されました。

報道された仕組みは、従業員への給与を「固定給」と「歩合給」に分け、固定給のみを社会保険料の算定対象としていたのではないかというものです。

根絶できなかった保険代理店の「社保逃れ」、縦割り行政で監督不全 - 日本経済新聞

報道対象となった企業は、社会保険料をごまかす意図はなかったと説明しており、「2026年8月以降はすべての給与を社会保険料の計算に含める方針」と報じられています。

参考資料:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2883N0Y6A720C2000000/

固定給+歩合給なら、歩合部分は社会保険の対象外?

結論からいうと、「歩合給だから社会保険料の算定対象外」ということにはなりません。

日本年金機構では、標準報酬月額の対象となる「報酬」について、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるすべてのものを含むとしています。

基本給だけではなく、下記のような手当も原則として報酬に含まれます。

・役職手当
・通勤手当
・残業手当
・各種手当

名称ではなく、実際に労働の対償として支払われているものかどうかが重要です。

まずは専門家に相談する

参考資料:https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kounen/hyoujunhoushu/hyoujyunhousyuu01.html

実は保険代理店については2017年に通知が出ています

今回の問題は、2026年になって突然出てきたものではありません。

2017年3月28日、厚生労働省年金局事業管理課と金融庁監督局保険課は、生命保険協会に対して、「厚生年金保険法等に基づく届出の適正化の徹底について」という通知を出しています。

この通知では、保険代理店の使用人に対して、契約件数などの実績に応じて支払われる報酬についても、標準報酬の対象となる報酬に含まれることが明示されています。

つまり、下記の整理は、保険代理店の従業員については適切ではありません。

× 固定給のみ=給与
× 歩合給=別の報酬だから社会保険対象外

参考資料:https://www.seiho.or.jp/activity/quality/agents/pdf/agency_2.pdf

歩合給は毎月変わるのに、標準報酬月額はどう決まる?

ここも誤解しやすいポイントです。

歩合給が毎月変動するからといって、標準報酬月額が毎月変更されるわけではありません。

通常は毎年7月に、4月・5月・6月に支払われた報酬をもとに標準報酬月額を決定し、その年の9月から翌年8月まで適用します。これを「定時決定」といいます。

したがって、「歩合給は金額が毎月変わるから社会保険料に入れなくてよい」ということではありません。

歩合給についても報酬に含めたうえで、制度上のルールに従って標準報酬月額を決定します。

オフィスで思案するスーツ姿の男性[モデル:野崎繁裕]

参考資料:https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kounen/hyoujunhoushu/20140602-02.html

歩合給が増えたら、その都度「月額変更」になる?

これも少し注意が必要です。

日本年金機構では、給与体系が歩合制で毎月の収入が変動していても、固定的賃金そのものに変更がなければ、歩合給の増減だけを理由として「月額変更」を行うものではないとしています。

一方で、基本給など固定的賃金に関係する条件が変更された場合には、「月額変更」の対象となる可能性があります。

つまり、「歩合給も報酬に含む」ことと、「歩合が変わるたびに標準報酬月額を変更する」ことは別の話です。

参考資料:https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kounen/hyoujunhoushu/20140602-07.html

保険代理店以外の企業も無関係ではありません

今回の報道は保険代理店についてのものですが、固定給+インセンティブ・歩合給という給与制度を採用している企業は少なくありません。

たとえば、下記の業種などです。

・不動産営業
・自動車販売
・人材紹介
・営業会社
・訪問販売
・その他成果報酬型の営業職

業種にかかわらず、「これは給与」「これはインセンティブ」と会社側で名称を分けただけでは、社会保険の算定対象から外れるとは限りません。

労働の対償として経常的・実質的に支払われているかどうかを確認する必要があります。

こんな給与制度は一度確認を

次のような企業は、一度給与制度と社会保険の届出を確認することをおすすめします。

  • 固定給+歩合給で給与を支払っている
  • 「インセンティブ」を標準報酬月額に含めていない
  • 営業社員だけ給与体系が大きく異なる
  • 外交員報酬など別名称で支給している
  • 給与明細と標準報酬月額に大きな差がある
  • 4~6月だけ給与が大きく低くなる仕組みになっている
  • 社会保険の届出方法を長期間見直していない
  • 過去に「この方法なら社会保険料を抑えられる」と提案されたことがある

まずは専門家に相談する

「社会保険料を安くする仕組み」には注意しましょう

社会保険料は企業にとって大きな人件費負担です。

そのため、「給与の一部を歩合給にすれば社会保険料が安くなる」「別の報酬として払えば標準報酬月額に含まれない」といった説明は、一見すると魅力的に感じるかもしれません。

しかし重要なのは、名称ではなく実態です。

固定給、歩合給、インセンティブ、成果報酬など、どのような名称であっても、労働の対償として支給されているものについては、社会保険上どのように扱われるのかを確認する必要があります。

特に、下記のような場合には、一度専門家へ確認することをおすすめします。

「現在の標準報酬月額が実際の給与水準と大きく違う」
「歩合給を社会保険料に含めていない」
「現在の給与設計が適切なのか不安」

当事務所では、給与制度・標準報酬月額・社会保険手続きについてのご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。

まずは専門家に相談する

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